ヘルススコアすぐ死ぬ(個人の感想です)

ヘルススコアすぐ死ぬ *1

飲み会用のネタ。趣味。3分で書いたのであんまり読まないでください
cmkt(カスタマーマーケティングミートアップ) Advent Calendar 2021 11日目の記事です。

一般的なBtoB SaaSが陥りがちな罠だと思っているものをまとめただけで、現在や過去の所属先には一切関係のない、個人の感想です!
あと飲みながら書いた元ネタを飲みながら直してるんで日本語がやばいです!

結論

長い話になりそうなので結論からお伝えします、これに同意いただける方はここから下を読まなくてOK!

言いたいこと:ヘルススコアは、健康診断です。大事なのは「スコア」ではなく、「ヘルス」の方。
「スコア」に寄ると絶対失敗するので、「スコアリングする/順位付けする」ことを目的化している場合は気をつけましょう。

ヘルススコアって何?

そんなそんな、皆様もうご存知のことですので、私から申し上げると釈迦に説法というか……。
Gainsightのブログでも読んでいただければいいんじゃないかと思いますね。

ヘルススコアがCustomerSuccess / CustomerMarketingに重視されているかをまとめると

  • 契約中顧客の健康状態をはかることが必要
  • 契約中顧客の状態をはかる指標としてヘルススコア以上に一意的なものが(現状世の中に)ない
  • ヘルススコアによって顧客を管理すれば、ハイタッチ/ロータッチ/テックタッチのCustomerSuccessが型化しやすく、スケーラブルなCustomerSuccessを構築できる(と思われている)

ということかなと思います。とても便利かつステキな指標ですよね。
今このお客様が●点、ということがわかれば、もっと仕事しやすくなるな。そんな風に思われるCustomerSuccessManager、CustomerMarketerの皆様が多くいらっしゃるんじゃないかと思いますが、

安易にやるとめちゃくちゃ失敗するんじゃないかなって思ってます

ということでここから失敗パターンを紹介していきます

「そもそも、やるの?」「どういうつもりでやるの?」という前提編と、実際の作業に関わる実装編の2つに分けています。

前提編① 何に使うかを明確化していない

スコアが上がったら何をする/下がったら何をするというアクションに落ちていない場合
健康診断に例えると、「この指標がCだったら腸からカメラを入れることになる」「Dだと断酒」といった、診断結果に紐付いた次の行動を練ることができない段階でヘルススコアを設計してしまうと、「で、●点だから何なの?」と、アクションに落ちないんです。
「いいね」や「悪いね」といった感想を言うことがアクションではありません、お客様に対して「どのような打ち手を行うべきなのか?」を考える必要があります。

前提編② 点数を決めるとき「エイヤ」

「◎◎したら◯点」「△△をしたら▲点」って、決めですよね。それ、正しいですか……?
正しさらしさを検証する手段、ありますか……?

前提編③ 検証しない / 調整しない

少しでも「ヘルススコア作ってみよう」と思ったことがある方は想像がつくと思うのですが、めちゃくちゃ重いんですよスコアリング。
リードのスコアリングだって世の中に「やり方ホワイトペーパー」みたいなのが乱立してるくらい難しいのに、カスタマーのスコアリングはもっと難しいです。
一回作ったスコア、良し悪しを振り返る手法とタイミングをきちんと想定していますか?作り直す時、一回作りきるのと同じくらいの労力がかかるはずです。
そしてそのタイミングは、プロダクトの進化スピードに追いつけそうでしょうか?
「ヘルススコアの値が高いとLTVやチャーンレートに対してプラスの影響がある」と、よく言われていますが、それって鶏卵になっていないか、証明できそうでしょうか?

前提編④ 労力がかかる

スコアリング設計や実装にかかる膨大な時間で他にできたことなかったですか?
本当ですか?「スコアリングされたいな」って、皆さんのお客様は、思っていますか?

 
実装編① 点数をつけるにあたって時期を明確化していない

実装時によくある失敗は、「リードナーチャリングを担当していたマーケティング出身のCustomerMarketerが設計すると、リードスコアリングに寄りがち」という点にまとめられる気がします。

例えば、「◎◎したら◯点」という指標のときに「いつからいつまでの間に」がないと漫然と点数を積み上げることになってしまい、契約期間の長さとスコアの値が比例に近くなってしまいます。
実際には「いつでもいいから◎◎して欲しい」のではなく、「1週間の間に最低でも◎◎を●回して欲しい」のようにお客様の行動を捉えるべきなのではないでしょうか。

実装編② 減算タイミングがない

実装編①と近いのですが、実際にお客様と相対しているCustomerSuccessManagerの方は「だんだんあたたまる」ケースよりも「だんだん冷めてしまう」「急に冷めてしまう」ことが多くあることを理解されているのではないかと思います。
その際加算方式だけだとお客様の状態悪化に気づくことができません。減算の仕組みと、減算があった際(つまり状態が悪化した際)の打ち手がセットになっていないとワークしないですよね。

実装編② 複数の無関係な指標を足し合わせてしまう

個人的にはこれが一番良くない(というか、スコアリングのデメリットを生みやすい)と感じています。
例えば、機能/サービスの活用度を計るスコア(A)と、タッチポイントを持てていることを評価するスコア(B)と、発信しているコンテンツに触れていることを表すスコア(C)があったとします。
各20点60点満点スコアでA+B+Cが45点以上だと状態◯、と定義した場合
A(15)+B(15)+C(15)で45点の人と、A(5)+B(20)+C(20)の人では全く意味が違います。
この場合、◯状態のスコアの中身までドリルダウンしないと、Aスコアの赤信号に気付くことができません。

 

おまけ 誰かの目標や評価指標にしてしまった

これは私個人に例えた話なんですけど、健康診断の評価が良いことを理由にして貰える人参が目の前にぶら下がっていたとしたら、私は健康診断の前だけ断酒して健康診断シーズンが終わったら毎日死ぬまで酒を飲むようになっちゃうんですが、それで健康診断の意味ってありそうですかね?

 

じゃあどうしたらいいんだよ。ヘルススコアやめたらいいの?

そんなことありませんよ!お客様の健康状態をきちんとモニタリングすることはとても大切です!絶対やったほうがいいです!

でも、「ヘルススコアつけたい」ではなくて「お客様の健康状態を把握できる仕組みを構築し、それを参照しながら適切なタッチを行いたい」というように、目的を明確化させるべきです。というかお客様に点数をつけて良し悪しを見える化だけしたいって思っているCustomerSuccessなんていないはずなので、冷静になればみんな手段の目的化から脱せるはずです。

ということで

こんな感じでやればいいんじゃないでしょうか① シンプルに

たくさんのものを計ろうとする/複雑化するからコケやすくなりますので、まずは
お客様にしてほしいことを明確にします。その際、絶対に定量化できるものにします。
例えば、サービスにログインしてもらえた回数。メイン機能を使ってくれた回数。これくらいでいいんじゃないでしょうか。

加えて、「こういった行動があると危険である」といった兆候があるようでしたら、それもシンプルに設定します。具体的にいうと「1週間ログインがない」とかですね。

ここを複雑にしたり、全ての機能の利活用を計りたい!とか欲張ると、新機能が追加されたのでスコアリングのロジックを決め直して………みたいなことが頻発してしまいますよ。

こんな感じでやればいいんじゃないでしょうか② ✗点数 ◯アラート

計測指標をシンプルにすると、お客様状態をわざわざ数値にしてソートする意味の薄さに気づくと思います。数値にすると、スコアを使う側の人が数値の意味を読み解くコストもかかってしまいます。
その代わりに、特に良い兆候・特に悪い兆候に対して出来る限り早くアラートを出す*2(出来るならリアルタイム)と良いのではないでしょうか。

ということで

「お客様がサービスにログインしているかどうか」、この数値とれていますか?
もしまだなら、ここからはじめてみましょう!

 

 

長々すみませんでした

いやー久々にこういう話題について考えると楽しいですね。
こういう話題についてかどうかわかりませんが、久々に人前でCustomerSuccessについて考える(※登壇者ではない)機会がありますので皆さんよかったら弊社オフィスまで遊びに来てください。オンライン配信もあります!

また、本記事の内容に全く賛同できない!!!
絶対どんなSaaSも複雑なヘルススコアを構築した方がいい!!!と思われる方もいらっしゃると思います。全然アリです。個人的にはそういう思想の方と一緒にCustomerSuccessについて語りたいので、もしよかったら下記から話しかけてください(もちろん求人です)。

最後に、「こんなん#cmktちゃうやろ!お前のお気持ちやろ!」とお思いの方、
全くもって仰るとおりでございます。
そんなあなたに是非、参考にしていただきたいのが下記の記事でございます。
弊社事例なので手前味噌ではございますが、きっちりCustomerMarketingを実践した事例で、めっちゃためになります。これを紹介するためにアドベンドカレンダーに手をあげたといっても過言ではありません。
絶対絶対読んでください!

 

*1:みんな吸血鬼すぐ死ぬ見てる?見て。面白いから

*2:CRMやtodo管理ツールに対して出力出来ると最高ですね

お前誰だよ?ここは何なんだよ?

書いている人
かねこ @kaneko_78

アラフォー / BtoB SaaS ひとすじ(嘘)13年目
ドラムを叩いたり、麻雀を打ったり、酒を飲んだりする合間に働いています
基本SaaSのBiz職の現場レイヤーならなんでもそれなりにできるが
特段スペシャリティのないジェネラリスト
4拍子で音が大きい音楽がすき。どっちかっつーとHorizontalなSaaSがすき。
自分のため、社内のため、的な内向きの方向性しかない仕事がきらい。生野菜がきらい。
いつもTwitterにいる

 

ここは
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ブログとか何十年か前に死ぬほどやったので、別に世に発信したいことはないです